日本なら、お盆もあける時節。子供達の夏休みも、順に終わりに近づき、釜山のビーチも少しづつ落ち着いてきた感じがして、これから、来られる方に、晩夏に美味しいビールを飲んでいただくところ。と、久々に広安里ビーチに、やってきた。
月曜だけれど、ビーチには程良い活気が漲っていて、煌々と光る海鮮ビルの灯りを右手に、眼前にはライト・アップされた大橋が、横切る。予想された光景だけれど、波の音をバックに聞く、南米のフォークロアは予想外の展開だった。 沖には、ナイト・クルーズの船がこれも煌々と、明かりをつけて、ゆったりと浮かんでいる。
尼僧も、キャピ・キャピのギャルも、仕事帰りのビジネスマンも、勿論、半ズボンにTシャツのカジュアルな装いの観光客も、海風のストリートを、思い思いにひやかしている。
特級ホテルが、立ち並ぶ海運台の昼は、釜山の顔だか、一山越えてとなりのここは、まさに、ナイト・ビーチ。多国籍な国ではないのに、非日常なアジアのビーチの異国情緒が、ムンムンしている。
ビーチをそぞろ歩きながら、これも思い思いにスピーカーから流れる、ブルース、ポンチャック、Kpop、フォーク。その摩訶不思議に渾然一体となって、さざ波のなかに溶けていく感覚。歩くスピードなのにも、かかわらず、オープンな店の中で、グラスを傾けて、語り合う人達が、飾り窓のような妖しさと、そんな淫靡ではない陽性な楽しさを醸して、次から次へと続き飽きることがない。
そんなこんな、しているうちに、ビーチの反対側のはずれまで、来てしまっていた。コーヒー・ショップで、テイク・アウトの、アイスオレを買い、ビーチへと降りていくコンクリートのベンチに腰を下ろして、右・左に旋回しながら、遠ざかっていく、クルーズ船を眺めたり、薄くもやがかかったヨット・ハーバー側の建築途中の高層ビルを、あてどなく見ていたら、いきなり、4ビートの生のジャズ・ドラムのサウンドが、響いてきた。
「今日は、雨が降らなかったら、これから2時間演ります。皆さん、もっと前に寄ってください。」と、慣れた声色で、ナレーション。でも、ここは、ライブ・ハウスじゃないから、見ている客層もさまざま、そしてナンテいってもバックは波の音も果てなく続く波濤。演奏と、お客さんのギャップも楽しいが、ガンガン・プレイしていく。
トロンボーンのソロの、迫力もたいしたもの。思わず、”じゃがたら”にも在籍した村田陽一のプレーを思い起こした。この雰囲気で、これをするかい。広安里、やるじゃん。シドニーのサキュラー・キィにも、負けてないぞ。(この、勝ち負けって何?苦笑)もう、時間がやばいので、とにかく、振りきるように、帰途につくことに。
もときた場所では、フォークロアの演奏が、デュオからトリオに増えて、沢山のヒトがベンチに浜辺に腰を下ろし、耳を澄ますように、聞き入っていた。総立ちだった、ジャズ・セッションとは、まさに対照的な、それでいて贅沢な静かな時間が流れていた。。