陰宅(死者の家)が残っている 国で。

宣寧郡の小さな集落より

今日、通訳ガイドのカンは、ご依頼の方と、韓国のご先祖の墓所を訪ねて、釜山から高速バスで内陸に1時間半ほどの宣寧郡(ウリョン郡)に、赴いた。 韓国のお墓は、詳しいことはわからないが、法律で所在を厳しく指定されている日本とは異なり、個人が土地(主に山等)選んで購い、そこに故人を埋葬する。

韓国は、中国に準ずる位、風水が盛んなところだ。先日もお正月のおり、10年かけて編纂したという、晋州姜氏の系譜の立派な装丁の書籍を、カンの実家で見せてもらった。そこには、本当に沢山の墓所の写真と所在地、そして、道教と儒教の風習が入り混じっていることの名残を表す、死者の為の家「陰宅」も多数、掲載されていた。

風水に詳しいかたは、ご存知かもしれないが、生きている人間が住む家は、「陽宅」になる。体を、治す為に、昔かじった仙道(タオ)の本の中で、見た風習がここでは今も生きているのを、実感した。この釜山も、ちょっと郊外の山際にいけば、こんもりと小さく盛られた墓所を、結構、眼にすることができる。

ご依頼の方は、60歳で急逝された、とても仲の良かった叔父さんが、生前「韓国の先祖の墓にはいりたい」と言っていたのを、どうしても忘れる事ができず、墓の所在と状況を確認しにきたという、30半ばの女性のかただった。

まずは、その墓所が簡単に見つかるのかが、問題だったのだが、途中でその場所のことを尋ねた地元のアジョマが「そのエリアなら、最近の洪水のときに流されたかもしれんよ。」(アジョマ・・笑)の言とは裏腹に、親切なタクシー運転手のおじさん(アジョシ)が、その意図を察して、誠意を持って探してくれて、案外、早く見つかったそうだ。

宜寧郡(ウリョン郡)の墓所近く。

見つかった墓所
宜寧郡にて。

ご依頼の方は、既に日本に帰化されて、おられるのだが、12年まえに、叔母さんに連れられて、そのお墓に来た時が、訪韓の最後だと言っておられた。「この12年で、韓国も変わりましたね・・。」この足で、半年間、中国語の勉強をしに、北京へ行かれるらしい。

「叔父さんの影響から、行った国の先々で、沢山、韓国人がいることにおどろきました・・世界中に韓国人がいるんです。」その話を聞いて、自分もオセアニアで、そして、日本で出会った、タフで、それぞれの地で懸命に頑張っている、コリアン、の事を想い出した。 もし、興味のあるかたは、「コリアン世界の旅」と言う、秀逸で、興味深い・ルポルタージュがあるので、お勧めします。 コリアン世界の旅

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