釜山の渓流と、「長安寺への小さな旅」

機張の市街を、過ぎてからも、こんな感じの海水浴場が、点在している

残暑、お見舞いといいたい所ですが、きっと、釜山はこの夏、最高の気温だったのでは?と、思える暑さ。「日本では、連日、未だに最高38度を記録するところも、あるんだから、何のこれしき。」とばかりに、ゲイターレード(スポーツ飲料)を、片手に歩いています^^。

今日は、女性の一人旅のお客様に、「釜山の、一押しのところを・・」と言われて、思い立って、長安寺まで足をのばしてみる事に、しました。

電池切れで、途中の素晴らしい海岸の景色は、撮れず・・、鄙びた建物。。

松亭のカフェで、軽く休んで車で、海岸線を機張まで。普段は、立ち寄る竜宮寺ですが、行かれた事があるという事と、暑さを考慮して、漁港の風景のみを楽しんで頂いて、機張市街の、より奥手をめざします。

イタリアンのレストランや、刺身の店、などが、岩礁に逆白波が音を立てて、白くくだける絶好のロケーションに、程よく配置され、古びた石瓦の風情のある、現役の韓屋が、ここそこに立ち並んでいます。

小さなビーチ沿いに立つ、陶芸体験館  

その気持ちよい、海岸の景色を後にして、長安寺に向かう為、山側に車は進路をかえます。そこは、慶州の郊外とは違い、水田ではなく、畑作農家の畑がいい感じで続いています。

夏に、ソウルをはじめとして、近隣都市からもビーチに沢山のヒトが詰め掛ける釜山では、地元のヒトは、山の渓流に水遊びに行くと、よく聞かされていました。

大地も、雄大な北海道で、大雪山国立公園の渓谷から、富良野や十勝平野のなだりも足繁く通った自分達には、釜山の雑踏の中で、そんな渓谷どこにあるのと、思ったのが、正直でしたが、一度来てすっかり、はまってしまいました。

海辺から、長安寺に向かう道への 交差点での、 逆向きの指示看板

上載の看板の小さな集落を、右手にはいってからの風景も、面白い趣向の郊外のお店や、ツーリスト・ホテル、見事な蓮の花が、溢れんばかりに咲いている池など、なんともまぁ、いい感じで、だんだん緑が深くなっていきます。

渓谷 への 入り口

窓から、入ってくる空気が、一段と冴えているのが、酷暑の中にもはっきりして、聞こえる蝉の鳴き声も、街中のアブラゼミだけから、ツクツクボウシ、ニイニイゼミの声、クツワムシとか、本当ににぎやか。

渓流 で、 川遊び を 楽しむ 人たち

だんだんと、清流で、遊ぶヒト達の歓声と、辺りは一面の緑に包まれて、山寺へ参るには、本当に、あつらえたような光景が、連なっていきます。

「あ~きっと、四国の遍路寺も、こんなシチュエーションのお寺があるんだろうなと、」、両親も行って、一番感激していた四国の巡礼寺のことを、暫し、想ったりしていましたが、もとい、ここは、韓国・釜山。

お寺 の 正門へ 到る  エントリー

昔のひとは、お遍路同様、歩いてここまで、参ったのだろうが、今は特にこの暑さの中では、車でここまで乗りつけられる事が、有難い。色んな弾圧の歴史の中で信仰を守ろうとした人の想いと、霊場というにふさわしい環境と、澄んだ空気が、有難い気持ちにさせてくれる。お客様も、「へ~、いいところですね^^。」と喜んでくださり、2倍に嬉しい気持ちになる。

長安寺 ・ 正門 写真では、ちょい派手めだけれど、実物は、古寺の風情たっぷり
お寺 の マスコット 犬君も、暑さで 一瞥したのみで、お出迎え
渓流から、曳かれた清水 で、 お浄め  気持ちいい ^^

韓国に来てから、まだ数えるほどのお寺にしか参っていないが、このお寺は、本当に、古寺らしいなぁ~と、感じてしまう風合いに、満ちている。 寺のすぐ横にも、手ですくって、そのまま飲めそうな渓流があるのだから、この浄めの水は、格別のおもてなしである。

大有殿 手前の 庫裏

暑さのせいで、人もまばら、これ幸いと、連なる山と寺院とのコントラストを、おのぼりさんのように、無作法にキョロ、キョロしながら、本堂へと進んでいく、

本堂 の 如来 像  、 日本の 仏像さまと、うりふたつ 

本堂では、女性の信徒の方が、敬虔に祈りを捧げておられたので、かなり恐縮して、シャッターを押した。後より、聞いたが、住職さまは真面目な方で、仏像にカメラを向けるのを窘められるそうなので、この熱暑の午後は、幸運だったのだろう。

だが、この古寺を気持ちよく開放して、参拝料もとらず、すみずみまで愛情深く管理されているのが、伝わってきて、信徒さんともども、なんか、そこはかとなく良いなぁ~と、感じてしまった。

本堂 より  山 を 眺める
とにかく、 菩薩 さま

長安寺は、新羅時代(673年)に元暁大師により創建されて双渓寺といわれたが、809年に哀荘王がここを訪れた後、長安寺と改称されました。1592年に文禄の役で焼失したのち、1638年に太義禅師により再建されました。

と、 紹介を引用させて頂きましたが、朝鮮の歴史に疎い自分にも、お気に入りの通度寺と、負けない位の歴史がある訳だから、寺格を感じるのは、当然にしても、流れる空気が、いい。

極楽堂という、 仏舎利をお奉りしているところに、安置されている 涅槃仏像

そのうち、奥手に極楽殿という、なかなか豪奢な雰囲気のする庫裏を、見つけた。仏舎利を、奉納されているところに、しかも涅槃仏という、組み合わせ。 思わずまた、シャッターを押してしまった。

これも後に、この仏さまを撮られることを、住職様がことの他嫌がるという事を聞き、これも暑さの賜物^^と、有難く手を合わせた次第です。

お寺 の  横 を 流れる 清流
お寺 の 駐車場に、放し飼いされている、ロバ君 沢山の人に写真を撮られても、だまってサービスして、ポーズをとっていた
お寺 近くに 連なる  露天

お寺、付近には、風情のある民宿(韓国では、民泊)、地鶏を使った、参鶏湯や、山菜を使った韓定食のお店も、結構あり、今回は他のエリアのお店に予約を入れていたが、「こんな場所で、食事をしない手はないぞ。」などと、お客様と、能天気に語りあいながら、釜山の雑踏(センタム)にむけて、帰途につきました。

長安寺 門前の  韓屋の 宿屋 の  入り口 
韓屋 の  宿   2

言葉の通じない”隣町”を楽しむ 夏!!

帰宅途中の、東莱の週末の風景

もう、暦は8月を指している。今日から、韓国は全国的に、3日間程度のサマー・ホリデー。MBCの夜のニュースでは、海運台ビーチの客の入りが300万人と、発表されていた。俄かには、信じがたいが、本当に凄い活気である。まさに、夏のプサンの面目役如といったところ。

そんな中、今日、自宅に戻ると、先週いらしたお客様からの、EMS郵便が届いていた。昨秋、このブログを始める機縁ともなった、福岡(博多)の方々が今年は、猛暑の暑さの中にお越し下さった折の道中のお写真を、CD-Rにいれて送って下さったのだ。

同じ病院で働くかたが、年に一度、もう幾年も、16人余りのメンバーで、この釜山を、訪れておられる。今回も、来られたのは福岡発の高速艇ビートル。前回、南浦洞でお別れする時、自分達が名残り惜しそうにしていたのを、気取られたのか、「来年も、また必ず来ますから・・。」と仰られていて、また秋には、お顔が見えるかもしれないな~と、思っていた。だから、それは、とても嬉しかったのだが、ただ・・。

丁度、火を噴くような暑さが3日間続いた後だっただけに、散策とショッピングが目的との仰せ。どうしたら、この暑さを、巧く出し抜けるかが、心配になった。夜はメンバーの方が、TVで放映されていたという機張(キジャン)の趣向も、雰囲気も、なかなか韓国風情たっぷりのレストランへの逆指名がかかっていたので、ショッピングの合間に必ず、お気に入りの伝統韓国茶店で、喧騒からひととき逃れて、釜山の大人の昼下がり(笑)を感じて頂きたいと思っていた。

冷製の 韓国伝統茶 で、 南浦洞の 暑~い午後を、皆さんとひと涼み

チャガルチで、お刺身を堪能されて、もう、軽~く、できあがっている皆さんと、再会。でもそれを、喜んでいる暇もなく、案の定、熱波が、わが一団を、襲ってきた。

「あっつ~~。」

「いや、今日は、ここ暫くの中ではチャガルチは風が吹いて凌ぎやすいですよ~。」

などと、誤魔化したりして^^、エスケイプするエアコンのあるコンビ二や、スーパーを眼で追いながら、週末の南浦洞の雑踏を、麦藁帽子を露天で調達しつつ、真夏の巡行。

地下商店街では、青磁の骨董を所望されているのに、店主不在、留守中のテナントが勃発。まわりのお店の方が、急遽、代理店主、宜しく、販売してくださったりと、釜山らしさを堪能?しながら、今年はなんとかお茶屋さんに辿り着く。 で、皆さんに喜んで頂き、チョッと胸を撫で下ろす・・。”素・・” 韓と和の折衷されたいいお店です。

機張 の 韓国伝統 黄土造りの レストランの 全景を模した看板

そんなこんなしながら、釜山鎮市場にはお連れできず・・機張のレストランへ。松亭(ソンジョン)を抜けて、機張に行くルートは大好きな行程なのだが、場所がわからずにパニックに陥ったタクシーの運転手さんの、「やめて、止めて。by 竹中直人」 状態の暴走パワー満載の運転で、油汗をも垂れ流がしながら、なんとか機張、到着。

鴨肉と、無農薬自家製 野菜の 伝統メニュー の レストラン

ついてみると、そこはちょっと茅葺屋根と黄土の壁が、なんとも韓国のいにしえの懐かしさを醸しだす、まさにウェルビーィングなフックのある、素晴らしい韓定食のレストラン。鴨肉料理と、自家製を含めた野菜を釜焼きする、独特あるいは、伝統を再現したコンテンツ。

レストランの 名物料理 オリファントカマグイ  (鴨の黄土釜焼き)
タンホバクユファンオリ (カボチャと鴨肉のロースト) 美味という以上に、滋味をいただく 献立

鴨肉料理の由縁と、効能等は、このリンクを参照して頂くとして、こちらが「教えて頂いて、ありがとうです。」という風情のなか、博多弁が聞こえる、わきあいあいとした宴の輪に加わらせて頂いた。

釜山~福岡(博多)の直線距離190キロ弱。その性ではないだろうが、隣町のようにこの異国の地を屈託なく楽しむ方々の中にいるうち、韓国スランプ(笑)に陥っていた自分にも、釜山の新たな一面と面白さが、由なく、そこはかとなくたぎってきた。

道中、長崎出身の方に、「釜山は、山や島が連なっている感じで、長崎に似ている気がするんです。」という話も聞いた。 う~ん、ますます、歴史は国境を越えて深い。

註 (写真は、送って頂いたものを、拝借^^)

緊急報告 !! 2010年 3月 第1弾 機張(キジャン)で・・・

機張 の  カニ  カニ・・

ちょっと、大袈裟ですが、釜山近郊で、当局,一押のちょっと一味違う、釜山ならではの、日帰り海浜観光&グルメのお勧めのルートは、なんといっても、海運台から松亭ビーチを抜けてキジャンで蟹のルートです。で、その、「機張 で蟹を!!」のそのカニさんですが、3月が一番美味しい時期だと昨日、通の地元人からの情報が入りました。

タラバ アブラ ズワイ に、チゲで美味しい ワタリも、勿論健在!

既に、機張には何度も行っていますが、行く度に、「釜山で、定住するならこのエリア」と、思ってしまいます。オールディズをかけながら、ドライブして、郊外のレストランで、まったり、そして・・。などと、つい白昼夢の世界に入ってしまいます。300万余りの都市でありながら、すぐ側に海をあたりまえのように感じる事ができ、本格的なビーチも地下鉄駅から、ちょっと歩けば、海運台ビーチを擁する釜山だけに、そこから小高い丘を、越えて、30分車で走れば、嘘と思えれるほど、ちょっと懐かしい鄙びた(ひなびた)海の情緒が、展開されます。

機張の街 に入る 手前の 海辺の風景

それに、その途中では、仏寺とはいえ、道教の流れを汲み、霊験あらたかな龍神信仰の伝説もある、海のお寺、海東”龍宮寺”で、おごそかに 開運祈願まで、できてしまう。お経が滔々とスピーカーを通して流れる、お寺の風情は、その海風の快さと、眼前に広がる日本海の波濤と相まって、不思議なトランスへと、いざなってくれます。お寺は、やはりそこに流れる、独特の気と、建立の由来にそこはかとなく、思いを到らすことで、2倍に楽しくなるところですね。

龍宮寺 本堂へ向かう 石段より

どうです、来週にでも、ちょっと船に揺られて、釜山に来られてはいかかですか^^。当局では、美味しいお店も、しっかりリサーチ済み、自信を持ってご案内いたします。

寺へと、連なる参道に立ち並ぶ出店で、売られる、”葛根”(生薬)の現物・ジュースにて飲む^^